2006年8月29日火曜日

SHE DOESN'T HAVE TO SHAVE

野崎さんのリクエストにお応えして(笑)、89年の「Frank」から「She Doesn�t Have To Shave」です。クリスにとってはかなりの自信作で、シングル・カットを希望していたのですが、会社側に拒否されたという逸話があります。理由は、女性の生理という、ポップソングにしてはあまりに微妙な問題を扱っているから。

歌詞の内容は、新婚家庭で生理痛の妻を思いやる夫というわけですが、サビで、女性の生理と男性のひげ剃りを対比させているのは、ちょいとお気楽にすぎるかなという印象もなきにしもあらず。私の周りでもそんな女性の声がちらほら聞こえてきます(笑)。グレンもこの歌について、インタヴュー本「Song by Song」の中で、女性に対して恩着せがましく聞こえるんじゃないかとちょっと気になる、というようなことを述べています。一方のクリスによると、コンサートではこの曲は女性ファン殺しの1曲で、グレンが出だしの3〜4行を歌うと、ステージ前方にいる女性ファンの共感がひたひたと押し寄せてくるのが手に取るようにわかった、ということです。

タイコウチ

「彼女はひげを剃らなくてもいい」

食器を洗っていた彼女が
突然泣き出した
ちょうど月のデリケートな時期
彼女は悩みをためこんでいたんだ
彼女の肩に腕をまわしてぼくはいった
しばらく座って休んだら
泣きたいときは泣けばいいんだよ
洗い物はぼくがやっておくから
いいたいことがあったらいってごらん

いつかかならずやってくる
どうにもならない時がある
悪いことはすべて自分のせいに思えて
ぼうっとして集中できない
彼女は幸せだ ひげを剃らなくてもいいから
ぼくも幸せだ おなかが痛くて苦しむことはない

新婦の涙にあふれた彼女の目は
まるで水たまりのよう
両手で耳のあたりをおさえ
うずくまって座る
ぼくは途方に暮れて
笑いかけたり 肩をすくめたり
できるかぎりの優しさを見せて
彼女のカップにミルクを注ぐ
ぼくの大切な花が
いまにも枯れてしまいそう

さて、おとぎ話はこんなふうにして終わる
ぼくたちはソファから床に倒れこんだ
テレビでは今日のサッカーの試合
こんなときには悪くない
ハーフタイムでぼくはちょっとうとうと
ぼくたちはなんとかうまく切り抜けた
キスをして抱きあって
今日一日が終わる
彼女こそぼくの愛する人

(訳:タイコウチ)