2008年12月7日日曜日

TEMPTATION FOR LOVE

〈誘惑〉続きで、「TEMPTED」の次は、1995年のアルバム「RIDICULOUS」から「TEMPTATION」です。「ELECTRIC TRAINS」を始め、同じアルバムのポップで力のこもったヒット曲たちにひっそりと隠れて、あまり目立たないかもしれませんが、スタンダードといってよい完成度を誇る1曲だと思います。

テーマは、「TEMPTED」と共通して、一時の誘惑に負けて、パートナーとの関係を損なってしまった男の反省ですが、歌詞も曲調もずっとシリアスな印象です。

実はこの曲、スクィーズにしては珍しく、ほとんどアコースティック・ギター1本で演奏されているのですが、弾いているのはなんとグレンではなく、クリスがソングライティングの合宿で知り合ったというヘイター・ベレッタ(Hayter Beretta)という人なのだそうです。グレンによる最初のアレンジは、キーボードを8台(!)も使ったかなり複雑なものだったそうですが、それをシンプルにそぎ落として、素晴らしい結果になったと、インタヴュー本ではグレンが語っています。曲の後半で、グレンが控えめに加えたキーボードがいいアクセントになっていると思います。

もうひとつ、スクィーズの曲としては珍しく、グレンとのデュエットというかたちで、キャシー・デニス(Cathy Dennis)が女性ヴォーカルで加わっています。クリスは、録音現場でふたりのデュエットを聴きながら、自分の書いた詞があまりにリアルに響くのに感動して、思わず涙を流してしまったということです。

タイコウチ


「愛と誘惑のはざまで」

いったいぼくは何をしでかしてしまったのだろう
何を言ってしまったのか
きみが顔を見たくもないというのは
ぼくのことなのだろうか
ぼくは愛を求めて
きみのほうをうかがう
でも探してもどこにも見つからない
きみの心臓の鼓動も、きみの影も姿も
ぼくは誘惑を間違って信じてしまうような男だったのか
誘惑を愛と取り違えてしまった

ふたりで話し合い
解決することはできないだろうか
そうすれば
共有できる足場を見つけられるかもしれない
ようやくわかったんだ
また同じあやまちを犯してしまった
見つけようのないものを探し求めるなんて
きみの心臓の鼓動も、きみの影も形も
ぼくは誘惑を間違って信じてしまうような男だったのか
誘惑を愛と取り違えてしまった

残された絆をぼくたちは見いだすことができるだろうか
きみがいなくなり、ぼくは夜眠れずにいる
ぼくはあやまちを犯したのだ

この気持ちを伝える言葉が出てこない
最悪の事態を心配して
きみを傷つけて
合わせる顔もない
今度こそきみに
とりかえしのつかないことをしてしまった
きみに電話をしてみても、きみの居場所はわからない
きみの心臓の鼓動も、きみの影も姿も
ぼくは誘惑を間違って信じてしまうような男だったのか
誘惑を愛だと取り違えてしまった

(訳:タイコウチ)