2008年12月6日土曜日

TEMPTED



これもまたスクィーズの代表曲で、ライヴの定番「TEMPTED」です。1981年のアルバム「EAST SIDE STORY」では、ポール・キャラックがメイン・ヴォーカルですが、その後はライヴも含めて、グレンのヴォーカル・ヴァージョンも聴くことができます。

さて、映画やCMでも使われている「TEMPTED」ですが、この歌詞の解釈が意外と難物です。サビを中心とした全体の印象としては、浮気をした男が反省しているという風に読めるのですが、冒頭の旅支度、空港でのセリフ、ベッドサイドでの誘惑というそれぞれの場面が、出来事としてどうつながるのかが、実はいまひとつすっきりしません。

クリスのインタヴューによると、教会からクリーニング屋、ビルの立ち並ぶ通りというのは、ヒースロー空港に向かう途中の景色そのままなのだそうですが、要するに、歌い手は、新たな出会いを期待して、ツアー(出張)に出かけるところのようなのです。

そして、旅先でちょっとした誘惑にのって痛い目に遭い(?)、帰路の空港で妻(恋人)に電話をしてみるが、罪の意識もあってなんだかうまく話せない。ベッドサイドの場面は、変な夢を見ていたところで、目覚まし時計のアラームにじゃまされて、一瞬わけがわからなくなっているところ。最後は、罪滅ぼしのつもりで、免税店で香水をおみやげに買ってみたりしている、というのが、なんとなくつじつまを合わせたこの歌のストーリーの私の解釈なのですが、どんなものでしょう。

タイコウチ


「誘惑されて」

歯ブラシと歯磨き
洗顔用のタオルに
パジャマとヘアブラシ
新しい靴にスーツケースも買った
鏡に映った自分に向かって僕は言う
さあ、ここを出ていこう

教会と尖り屋根の礼拝堂
丘の上のクリーニング屋
連なる屋外広告板とビル街を抜けていく
きみとの思い出はまだ
心に引っかかっているが
もう忘れてしまおう
きっと忘れられるはず

隣の果実に誘惑されて
試してみたが、本当のことがわかった
いったい何がどうなっていたのか
きみがいなくなってしまった今
もうかわりになる人は他にいない
隣の果実に誘惑されて
試してみたが、本当のことがわかった

駐車場に着いて、空港の中に入る
荷物を乗せた回転コンベア
次々とやってくる人たち
ぼくは運を天にまかせる
特別な事は何もなかったと話す
話すようなことなんてないんだ

ベッドに腰かけ、財布はすっからかん
素足になった片足
きみが体を近づけてくるが
ぼくは誘惑の危険を感じて
手探りで目覚まし時計に手を伸ばす
なんでこのアラームは止まらないんだ

隣の果実に誘惑されて
試してみたが、本当のことがわかった
いったい何がどうなっていたのか
きみがいなくなってしまった今
もうかわりになる人は他にいない
隣の果実に誘惑されて
試してみたが、本当のことがわかった

小説本と
きみへのおみやげの香水を買った
嘘をつきたくないのは
良心があるからってわけじゃない
鏡に映る自分の顔にたずねる
いったいどうしたらいいんだ

隣の果実に誘惑されて
試してみたが、本当のことがわかった
いったい何がどうなっていたのか
きみがいなくなってしまった今
もうかわりになる人は他にいない
隣の果実に誘惑されて
試してみたが、本当のことがわかった

(訳:タイコウチ)