2008年12月22日月曜日

THIS SUMMER

アルバム「RIDICULOUS」からのシングル曲「THIS SUMMER」は、ひと夏の素敵な恋の喜びをしみじみかみしめるといった内容ですが、この恋は現在進行というわけではなく、何十年も昔の薄れかけた記憶が、夏の夜に彼女とすごした海辺の移動遊園地(たぶん)の断片的なイメージによって、かろうじてつなぎとめらている、というちょっと切ない語りとなっているようです。というわけで、タイトルの日本語訳は、あえて「この夏」ではなく、「思い出の夏」としてみました。

歌詞のなかに出てくる「輪郭がぼやける(blur)」というのは、当時ブリットポップ・ブームで人気グループだったブラー(Blur)に引っかけているのかもしれません。英国盤シングルのB面では、彼らの「END OF A CENTURY」という曲をカヴァーしてましたからね(日本盤の「RIDICULOUS」にボーナストラックとして収録)。

タイコウチ


「思い出の夏」

脳みそが口を動かし
口が思いを言葉にする
あの遊園地の回転木馬の思い出
夜の闇のなかふたりで乗った

月日がすぎれば頭に記憶が入りきらなくなる
まるで缶詰にびっしり並ぶサーディンみたい
輪郭がぼやけはじめたあの夏の思い出が
ふたりをカレンダーにつなぎとめる

この夏、空には雲ひとつ浮かぶことはないだろう
ぼくの気持ちは揺らぎなく、空に飛び立つこともできそう
この夏、ぼくたちはベッドからシーツをすべてはぎとった
うれしすぎてきみのことが頭から離れない
この夏、ぼくはきみに心から恋をしてしまった

毎朝がぼくたちふたりを残してすぎていく
カーテンで陽の光が遮られているから
夜ごとにぼくたちははめをはずす
2枚の旗が1本のポールに絡みつくように

らせんすべり台の照明が目に映る
そよ風に吹かれて音楽が聞こえてくる
今夜、石で水切りをするぼくたち
ぼくはきみといられる幸せにひたる

この夏、空には雲ひとつ浮かぶことはないだろう
ぼくの気持ちは揺らぎなく、空に飛び立つこともできそう
この夏、ぼくたちはベッドからシーツをすべてはぎとった
うれしすぎてきみのことが頭から離れない
もう寂しい思いをするなんてありえない
この夏、ぼくはきみに心から恋をしてしまった

(訳:タイコウチ)