2009年5月31日日曜日

THROUGH THE NET



1月の東京公演2日目では、終演後に会場に居残っていたファン20人くらい(?)とともに、この曲のPV撮りが行われたのですが、グレンさん、あのビデオ、どうなったんでしょうね? ちなみに、あのときさんざんコーラスを練習させられて、思いがけずこの曲にはけっこう複雑なコーラスが組み込まれているのだな、と気がつきました。

この歌詞は、一見ストーリーを追いにくいのですが、要は、1番、2番、3番とそれぞれ直接は関係ない別々の話になっています。1番は、何やら傷害事件を起こして裁判にかけられている若い女、2番は、上流階級の家庭の束縛から逃れようとしている10代の男の子、3番は、おそらく育児放棄気味の貧困家庭の末っ子で、読書好きの女の子、という3人の主人公がいます。彼らが、それぞれこれからの人生で、現在のもろもろのしがらみ(ネット)から良くも悪くも逃れていくだろう、人生なんて賢しらに考えても無駄で、ともかくなるようになるもの、日々を新たな1日として生きていこう、というような人生観が語られているのだと思います。

タイコウチ


「網をすり抜けて」

もう聞き飽きたという顔の判事は疲れきった表情
警察が野宿しているところを見つけた女
以前の傷害事件で出廷せずに
指名手配になっていたところ
着席した女は青ざめた顔でうつむいている
判事としては保釈を許すわけにはいかない
まだ若いが、この女が網をすり抜けていくことがないとは
誰も請け合うことはできないだろう

フィー、ファイ、フォー、ファム、朝がくるときゃ朝がくる
逃げも隠れもできやしない
新たな1日がまた始まるのさ

この少年は、ひとりで外出などありえなかった
いつでもお目付役に付き添われていた
パーティー・バッグからパブリック・スクールへ
徐々に規則を曲げることを覚えていった
活発なホルモンをかかえた若者には耐えがたい
両親からの息詰まるような抱擁
これ以上恵まれた家庭環境は望みようもないが
それでも彼は網をすり抜けていこうとしている

フィー、ファイ、フォー、ファム、朝がくるときゃ朝がくる
逃げも隠れもできやしない
新たな1日がまた始まるのさ

彼女の両親は顔見知りになっていた
いつも世話になっている社会福祉サービスの人たち
子どもたちを愛していたが、わかってはいなかった
自分たちがめちゃくちゃな生活を送っていること
末っ子の妹はできが良かった
読書好きで、好奇心旺盛
いつの日か必ずきっと
彼女はうまく網をすり抜けていくだろう

フィー、ファイ、フォー、ファム、朝がくるときゃ朝がくる
逃げも隠れもできやしない
顔をそむけて見ぬふりなんてできやしない
生まれと育ち、吉と出るか、凶と出るか
愛されるのか、傷つけられるのか
パグウォッシュ船長、カーク船長
賢明なのか、ただ逆上しているだけなのか
さあ、新たな1日がまた始まるのさ


*パーティー・バッグ:子どもの誕生会で、招かれた子どもたちがお土産に持ち寄るお菓子やおもちゃを詰めた袋。
* パグウォッシュ(Pugwash):哲学者ラッセルと物理学者アインシュタインの提唱により、核兵器廃絶や世界平和について討議する目的で1957 年に開かれた国際科学者会議(第1回)の開催地の地名(カナダ)で、その後の会議も「パグウォッシュ会議」と呼ばれている。
* カーク船長(Captain Kirk):SFドラマ「スタートレック」の宇宙船エンタープライズ号の船長で、冷静沈着な判断力で知られる。

(訳:タイコウチ)