2006年9月8日金曜日

DAPHNE

アルバム「RIDICULOUS」に収録されているこの曲は、シングルにもなってないし、派手な曲でもないので、あまり注目されていないかもしれません。ところがスクィーズのインタヴュー本「SONG BY SONG」を読むと、びっくりする事実がこの歌には隠されていたことがわかります。

この歌で、歌い手が求愛している女性ダフネは、なんと>エイミー・マンのことだというのです。エイミー・マンは、90年代半ばには、クリスやグレンといっしょにステージに立ったり、エイミーのレコードにクリスとグレンが参加したりと、いろんな交流がありました。エイミーの95年のアルバム「I'M WITH STUPID」の1曲目「LONG SHOT」という曲では、スクィーズの「UP THE JUNCTION」のイントロのフレーズが引用されたりもしています。当時クリスはけっこう本気で彼女のことを気に入っていたらしいのですが、その想いは、この歌からも想像できるように、クールなエイミーに軽くあしらわれてしまったようです(笑)。

おかしいのは、クリスが書いたこの歌詞をもらったグレンは、ダフネが実在の女性、それもエイミーをモデルにしているとはまったく気づかず、「その眼鏡をかけていると、ナナ・ムスクーリに似てるね」なんて、いかしたフレーズを書くクリスはやっぱり天才だ、とただ感心していたのだとか。

ナナ・ムスクーリは、ポップスからジャズ、クラシックまでこなすギリシア出身の世界的な歌手ですが、何といっても大きめの黒縁の眼鏡が印象的です。エイミーも、眼鏡をかけた写真をどこかで見たことがあるので、たぶん目があまり良くなくて、プライベートではきっと眼鏡をかけているのではないでしょうか。

ちなみに、アルバム・タイトルの「RIDICULOUS」は、おそらくこの歌の「Don't be ridiculous」(「ばかなこといわないで/きみはどうかしてるよ」)のところから取られたのだと思います。

タイコウチ


「ダフネ」

ねえ、ダフネ
きみはどうかしているよ
そんなに黙ってたら ぼくたちは死んでしまうよ 
ぼくと話をして
きみの素敵な舌で 声を聴かせて
人生には楽しむことも必要だよ
ねえ、ダフネ
そんなに偉そうに構えないでさ
きみの相手はここにいるんだから
ぼくと話をして
その美しい目でぼくを見つめて 声を聴かせて
少しはぼくのいうことも聞いてくれよ

きみは道化芝居みたいな人生には慣れっこだという
裁判官と陪審の裁判ごっこが好きなんだね
きみはその眼鏡をかけていると
ナナ・ムスクーリに似てるね

ねえ、ダフネ
声を出して笑って 楽しくやろうよ
悲しいことはそっちに置いといて
ぼくと話をして
冗談をいって お腹をかかえて笑ってさ
人生を半分に切ってしまうなんてだめだよ
ねえ、ダフネ
シェリーはきみのために詩を書いたんだよ
彼だったらきっと
ぼくの話し相手になってくれただろうね
ぼくのことを馬鹿だなっていったりしてさ
愛は人を狂わせるものなのさ

きみは道化芝居みたいな人生には慣れっこだという
判事と陪審員の裁判ごっこが好きなんだね
きみはその眼鏡をかけていると
ナナ・ムスクーリに似てるね

ねえ、ダフネ
きみはどうかしているよ
そんなに黙ってたら ぼくたちは死んでしまうよ
ぼくと話をして


(訳:タイコウチ)

英文の歌詞はこちら