2006年9月19日火曜日

THE GENITALIA OF A FOOL

この曲も前回のツアーで非常に思い出深いので、今回はこれを取り上げることにします。

グレンが大真面目な顔で歌うので、英語が分からない人はやっぱり大真面目で聞くしかないわけだけど、実はこの曲を名古屋で歌ったとき、会場に数人外国人のお客様をはじめ日本人で英語をわかる方ももちろん数人いらっしゃった。英語がわからない人には、英語がわかるお客様が、歌の間中ずっとクスクス笑っているのはなぜか理解できない。で、かつ曲も良かったりするから、ライヴが終わると「あのカントリー調の曲が良かった」とかよく言われるんだけど・・・

そう、この曲、こんな風に歌っているんである:「俺だって趣味のひとつくらい持っているんだ。みんなもヘンな才能の一つくらいはあるだろ? 頭がおかしいと思わないでくれ。でも僕は君のパーティを台なしにした。ここで僕は愚か者の生殖器を握って立ちつくしている」という歌なのだ。中川五郎さんなどは「あのぅ〜この曲は露出狂の曲ですよねぇ? いいんでしょうか」とかマジで心配してくれていた。そして歌は続く:「僕のすべてをさらけだせば、好きになってくれると思ったんだ」あとは「TRANSATLRANTIC PING PONG」についている五十嵐正さんの訳を読んでください。私には書けません(笑)

グレンは、この曲のジョークが日本で理解されなかった事を非常に気にして「あぁ、あの歌、歌うんじゃなかった。あの曲で完全に(あのジョークがわかる人とわからない人と)会場のオーディエンスを分けてしまった」とすごく後悔していた。ほんとグレンって優しい。本当に毎回お客さんが心から喜んでくれるかどうか、すごく気にしているし、本当にお客さんを大事に思っている。

だから今回も5回のライブ、どの日に来てもお客さんは大満足だろう。これがウチの某スウェーデン・バンドなんかだと、絶対に2日あげれば1日しか上手くいかない。まぁ、もちろん彼等の音楽のハードルは高いから合格点にはもちろん充分達するんだけど、だいたい私は1日しか満足しない。それでいつも「野崎さん、厳しすぎ」とか言われるんだけど、私は彼等のプロモーションに命をかけているから、私の好きなバンドがその程度だという事実が許せないのだ。私の音楽的センスを疑われてしまうもん。

その点、グレンはすごい。前回のStar Pine'sの3日連続の時も、1日だけどうかなと思った日があった。1部と2部の間の休憩中にグレンは、だいたい楽屋に戻ってきてその日のライブの状態を話す人なのであるが、グレンはその日の前半が終わって楽屋に戻ってくるなり話し掛けようとする私と止めて言った。「何も言うな。自分の事は自分が一番分かっている。後半は絶対に大丈夫だから安心して見てて」と。

私はすっかり感動してしまった。この根性がウチの伝統音楽の連中にも欲しい。絶対にその日のライヴを完璧なものにしてみせる、というその根性が。実際その日のライブは、ものすごい集中力で、本当に素晴らしかった。

あの時以来は「もうGenitaliaは日本では歌わない」とグレンは宣言してたけど、曲調は素敵だし、グレンの声にあっているんだから、ぜひ歌ってほしいよね。そして、ぜひ皆さん、次回はぜひクスクス笑いながら聞いてあげてください。

っていうか、グレンに内緒で、みんなで歌詞プリントアウトして持ってきて一緒に歌うってのは、どう? 前回のツアーのリベンジとして。なんかそういうお客さんの方から逆演出みたいな、そんな事できないかな。せっかくグレンがまた日本に来てくれるんだし。歌詞カードみなくても、せめて「ジェニタリア・オブ・ア・フぅ〜ル〜」とのところを一緒に大きな声で歌う、とか? グレン、絶対に喜んでくれるだろうから。

ちなみにオリジナルはテキサスはオースティンでグレンが出会ったコーネル・ハード・バンド。

しっかし自分のバンドをフラッファーズとか呼んだり、グレンのこういう子供っぽいジョークには時々ついていけない・・・という話で先日ブーと盛り上がってしまった。このネタはまた次回。

野崎洋子


英文の歌詞はこちら