2006年9月28日木曜日

GREAT ESCAPE

スクィーズにしては、サウンドも歌詞の内容もかなりヘヴィーな1曲です。タイトルは、もちろん往年の戦争映画「大脱走」からとったのでしょうが、同じ頃にイギリスのブラー(Blur)も「THE GREAT ESCAPE」というタイトルのアルバムを出していました。そして、そのブラーの「END OF A CENTURY」という曲を、スクィーズは当時のライヴでカヴァーしていたのでした(もとはシングルB面として発表されたものですが、日本盤の「RIDICULOUS」のボーナス・トラックで聴くことができます。正確にはスクィーズの演奏というよりも、グレンの弾き語りという感じですね)。というわけで、当時のブリット・ポップがらみで、ブラーとの関係がいろいろ噂されたようですが、同じアルバムからシングル・カットされた「THIS SUMMER」の歌詞に'blur'という単語が出てくるのは、単なる偶然なのだそうです。

これまで何曲か取り上げてきたDVをテーマにした曲のなかでも、とりわけ暴力シーンが生々しく描写されています。「TOUGH LOVE」のときも書きましたが、この曲も一応はハッピー・エンド(のようなもの)を迎えるわけで、ストーリーとしてはちょっと安易な展開ではないかという気もします。でも「TOUGH LOVE」とは違って、曲調と前半で描かれるあまりの酷さに苦い後味が残ります。

タイコウチ


「大いなる脱走」

家でひとり待っていると 夜遅くに男が帰ってくる
すべての血球が1つ残らず酩酊しきった状態で
男はその場で彼女に襲いかかり 彼女はソファから転げ落ちる
男は体につかみかかり 彼女を引きずり倒す
彼女はやめてと叫びながら 足をばたばたさせて抵抗する
しかしのしかかる男の体は重すぎて 彼女に勝ち目はない
男は蛇のつまったずた袋のように彼女の上にどさりと倒れ込む
彼女は泣き叫び、ほおに涙がこぼれ落ちる

希望があり、恐怖もある
男が言うことを聞いてくれるなんてことがあるだろうか
絶対に相手を拒絶しなければいけない
さあ、今が家を出ていくとき 大いなる脱走

彼女は部屋を走り出て裏口から逃げる
居間の床にころがって寝ている男をおいたまま
彼女は一晩歩いて市役所広場までたどりついた
もうだいじょうぶ どうなってもいいようにすら思える
彼女のことを馬鹿にしていた男に 彼女は立ち向かったのだ
そして男は自分のメッセージを彼女に放った
目を覚ました男はあまりの恥ずかしさに吐き気をもよおした
彼女は泣き叫び、男のほおに涙がこぼれ落ちる

彼女が家に戻ると 男はひざまづいた
頼むから戻ってきてくれと、心から赦しを求めて

(訳:タイコウチ)



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