2006年9月1日金曜日

LETTING GO

1991年のアルバム「Play」に収録されている「Letting Go」は、夫婦(恋愛)関係の終わりを迎えつつあるのに、別れるきっかけを見つけられずにいるカップルの日常が描かれています。曲調はジャジーな雰囲気のある美しいバラードですが、クリスのペンによる映画の1シーンを思わせる繊細かつ大胆な描写によって、緊迫感あふれる名曲に仕上がっていると思います。演奏面ではスティーヴ・ナイーヴが弾いてくれたキーボードがとにかくすごいんだとグレンは絶賛していますが、本人の書いたメロディと歌も最高です。今年出た「The Squeeze Story」でようやくベスト盤入りしました。

ちなみに、タイトルだけは日本語にしにくいので、あえてベタな(?)意訳にしてみました。

それにしてもあのインタヴュー本「Song by Song」を読んでしまうと、この曲の内容は、まさに当時のクリスとグレンの関係だったのではないかと…いや、つまらないことを書いてしまいました。ともかくも、しみじみと完成度の高い素晴らしい曲だと思います。

タイコウチ


「愛のうつろい」(Letting Go)

彼女は髪を編み ぼくは爪をかじる
愛を秤にかけているぼくたち
時計のねじを巻き ぼくはベッドに入る
ぼくたちの愛は一本の糸でつながれているだけ
彼女が服を脱ぎ ぼくも服を脱ぐ
この寝室はすきま風で寒い
ぼくたちはからだをそっと寄せあい おやすみをいう
今夜ぼくたちに残された愛はこれがすべて

ぼくは優柔不断で
彼女は正直な気持ちをことばにできずにいる
こうして1日また1日と
ぼくたちは移ろっていく
お互いのことを手放しがたくて

彼女は卵をゆでる ぼくは紅茶をいれる
外では太陽が通りをまぶしく照らしている
ぼくたちの愛はもうここにはない
導火線には火がついて 先はもう長くはない
ぼくは散歩に出かけ 彼女は家に残って掃除
もうおしまいだということはわかっている
それでもまだぼくたちは 別れる覚悟を
お互いにさらす気配もない

(訳:タイコウチ)

英文の歌詞はこちら