2006年9月2日土曜日

SOME FANTASTIC PLACE

後期スクィーズの代表作「Some Fantastic Place」からタイトル曲を訳してみました。この曲は、まだ10代半ばだったグレンの当時のガールフレンド、マキシン・ベイカーが、1992年に若くして白血病で亡くなってまもなく、クリスが一気に詞を書いて、例によって何も言わずにグレンに手渡したとのこと。2人とも、この曲がスクィーズの楽曲では最高傑作であると自負しています。

マキシンとグレンの恋人同士としてのつきあいはそれほど長くはなかったそうですが、グレンとクリスともにずっと友人関係は続いていたそうです。そもそも、クリスが出したバンドメンバー募集のチラシに、応えてみたらとあまり乗り気でなかったグレンに無理強いした(?)のが、マキシンだったというのは有名な逸話です。

マキシンが亡くなる前後は、実はクリスがアルコール依存症の集中治療を受けていたいた時期と重なっていて、すでに死期の迫っていたマキシンを見舞いにいったクリスは、逆にいろいろとはげまされたということです。ちょっと皮肉なことに、彼女のクリスへのアドバイスには、グレン以外の人とも曲を作ってみたら、というものも含まれていたそうです。

グレンによると、この曲はジョージ・ハリスンの「My Sweet Lord」の雰囲気をヒントにしているそうで、数年前にアメリカ・ツアー中にジョージが亡くなったことを知らされたグレンは、ジョージの曲を歌う代わりにこの曲を歌って、ジョージに捧げたとのことです(DVD「ワン・フォー・ザ・ロード」にもこのシーンが出てきますね)。

ちなみにこの曲の間奏のギター・ソロは、グレン入魂の素晴らしいプレイだと思いますが、なんと基本となるアイディアは、彼がクリスと出会っていっしょに曲を作り始めた頃、つまりまだマキシンとつきあっていた頃に作った曲を元にしてるのだそうです。

たしか昨年の来日公演では、毎回のようにクリスのことをからかった「Neptune」を演奏したあとで、クリスはぼくが尊敬する最高の作詞家なんだ、という前置きとともにこの曲を歌ってくれましたね。

タイコウチ


「どこか素敵な場所で」


彼女はぼくにやさしさを与えてくれた
友として 恋人として
彼女の顔をときどき思い浮かべてみる
この空のどこか高いところに
ぼくたち2人はいろんなことを学びながら成長してきた
ぼくたちの人生がどんな素敵な旅路となるか
荒波をわたる航海をへて
たとえようもない穏やかな海へとぼくらはたどりついた

彼女の微笑みは 幾度となく
苦難の底にあるぼくをすくいあげてくれた
彼女が残してくれたいくつかの言葉をぼくは決して忘れない
彼女は素敵な鐘の音を鳴らしてくれた
彼女の気取りのない謙虚さ
彼女の気品あふれる美しさ
いま彼女は新しい人生を歩みはじめたんだ
どこか素敵な場所で

悲しみに沈み 起きあがれないときに
どうすれば笑顔を見せることができるか彼女は教えてくれた
そして聖なる庭で
新しい生命が花開いた
彼女は来るべき世界の姿を描きだし
どうやってその世界を実現させればいいかを示してくれた
彼女は何ものにもかえがたい愛情を残してくれた
永遠に滅びることはない

いずれぼくが彼女のあとを追うときがきたら
ただひとつだけ願いがある
彼女に道を案内してもらいたいんだ
いつのことになるかわからないけれど
彼女の愛情こそが生命と幸福の源
彼女の残した足跡をたどって
ぼくはよりよく生きることができる
どこか素敵な場所で
どこか素敵な場所で
どこか素敵な場所で

(訳:タイコウチ)

英文の歌詞はこちら