2006年9月30日土曜日

MAIDSTONE

「メイドストン」というのは、地名でイングランド南東部ケント州の州都だそうです。この町をツアーで訪れたときの印象から書かれたものなのでしょう か。夜の町の様子とスーパーマーケットで働く男の子の淡い恋心が、スクィー ズでは珍しいマンドリンの伴奏でほのぼのと描かれています。

もともとはアルバム「PLAY」からのシングル「SUNDAY STREET」のB面だったのですが、今年出たベスト盤「THE SQUEEZE STORY」などで聴くことができま す。作り込まれた「PLAY」の楽曲に比べると、ほとんどデモといっていいよう な録音ですが(実際そうかもしれない)、作った本人たちの評価はさておき、 ファンの間でいつのまにか人気が出てきたという、いわゆる隠れた名曲というタイプですね。今回訳してみて、はじめて歌詞の内容を意識しましたが、とても素直に気持ち良く聴けるいい歌だと思います。

タイコウチ


「メイドストン」

スーパーマーケットの煌々とした明かりが夜の闇を照らしている
こんなに冷え込む冬の夜には
たんすの引き出しからマフラーを取り出したくなる
敷石をしいた広場には人が集まっている
店を閉めて引き上げる頃には
みんな寒さに歯をカチカチ鳴らしはじめる

娘たちは母親と待ち合わせ
父親は息子たちと待ち合わせ
ひとりで帰るには
あたりは暗すぎるから

商店街はみな店を閉め
まるで墓場のような寂しさ
自転車のカギをはずすとき
チェーンがスポークに当たり音を立てる
パブまでひとっ走りして
友だちに合流する
そして彼女がビールをついでくれるとき
これは恋だ、とぼくは思う

他人同士が知り合って
友だち同士で日々をわかちあう
ぼくはまた彼女のことを見て
蝶のようにどきどきしてしまう

ぼくは枕をわきに抱いて
そこに彼女がいることを想像して
眠りにつこうとする
自分の気持ちはわかっているけど
いつの日か彼女からこう言ってくれることを
期待して祈っている
これが私の本当の気持ちなの
あなたを愛さずには生きていけない

だれもいない道を
ぼくは自転車を押して家路につく
雨はやさしい音を立てて
通りを流れる
道路を照らすぼくの家の明かりが
夜を琥珀色に染めている
家にはだれもいないので
ぼくは風呂につかる
泡と泡がいっしょになって
また1つの泡になる
ぼくは世界の成り立ちに思いをはせ
今日一日をふりかえる

ぼくは枕をわきに抱いて
そこに彼女がいることを想像して
眠りにつこうとする
自分の気持ちはわかっているけど
いつの日か彼女からこう言ってくれることを
期待して祈っている
これが私の本当の気持ちなの
あなたを愛さずには生きていけない

スーパーマーケットの煌々とした明かりが夜の闇を照らしている

(訳:タイコウチ)


英文の歌詞はこちら