2006年9月10日日曜日

TOUGH LOVE

うーん、やっぱり自分の中で大事な曲となると歌詞に重きがいってしまう。しかもまた後期。たまには初期の曲も取り上げないとなーっ。

「BABYLON AND ON」は好きなアルバムだ。スクイーズのアルバムでもっとも売れた作品。で、制作するのにもっともお金がかかった作品でもある。ロンドンのエアー・スタジオから、ニューヨークのヒット・ファクトリーまで、当時の最高のスタジオを使って長期間にわたって制作。

ヘんなタイトルを決めたのはクリス。「Babble on and on」から来ているのだそう。アルバムのコ・プロデューサー・クレジットにグレンの名前を載せるにあたり、バンド内でひと悶着。グレンもクリスもそれぞれの言い分を「SONG BY SONG」の中に残している。

グレンにしてみれば、レコーディングの最初から最後までずっとスタジオにいる自分と、自分が用がある時だけしか顔をださない他のメンバーが同列というのじゃ、はっきり言ってたまらない。でもクリスの「スタジオに来て最初の日にいきなり“オレがコ・プロデューサーだ”と言われてもこまるんだよ」というのも言い分も十分に理解できる。グレンって、そのヘン、誤解される物言いをするんだよなぁ。バンドのリーダーってほんと孤独だよな、と思う。自分ばっかり一人で頑張って、一人で損をしているような気分になる。

何をやるにしてもバンド内でメンバーの温度差があるのは、これはもう仕方がない。たとえばヴェーセンの3人を観光につれていっても、何にでも感動するミッケと違い、ローゲルはお勉強系の観光よりショッピングの方が圧倒的に好きだし、日本ツアーに対してだって、本当に心から来たいメンバーと、仕方なしにつきあうメンバーといたりするのは、これはもうしょうがない事なのだ。

でもスクイーズの後期のステージの映像をみていると、あきらかにジュールズはやる気がないし、一時はステージで居眠りをしたこともあったそうだから、それを引っ張るグレンの気持ちは痛いほど分かる。

で、その中から、グレンが今でもライヴで良く歌う歌「TOUGH LOVE」きっつーーーみたいなDV(ドメスティック・ヴァイオレンス)がテーマ。「もう薬も酒もやらないよ」と言いつつ、またもやパートナーをなぐってしまう男。何時間も話し合ったのに答えは見つからず空しいばかり。

歌うグレンの声も力強く、3拍子の物語に説得力を持たせる。She knows that tough love is needed...というところに、歌詞もメロディも、楽曲としての力強さが感じられる。傑作だ。

野崎洋子

英文の歌詞はこちら