2006年9月14日木曜日

TRUE COLOURS (THE STORM)

トゥル〜リラ、トルーカーラズ〜。ってなわけで、今回はこの曲を選んでみました。「SOME FANTASTIC PLACE」から、ベースのキース・ウイルキンソンが歌う「TRUE COLOURS」。

アルバムの中で、妙にあったかい空気を放っている大好きな曲だ。ヴォーカルの重なり具合が、とっても気持ちいい。アルバムのリーダートラックにはなり得ないけど、こういう曲が入っているとアルバム全体がいい感じにまとまるんだよな。そんな曲。

得てしてベースっていい人が多いんだよね。ほんとギターの人はギターっぽいし、ドラムの人はドラマーっぽいし、ヴォーカルの人はヴォーカルっぽいんだけど。ベースの人は優しい人が多いかなぁ。私の偏見ですが。だからキースも、きっといい人に違いないのだわ。グレンもクリスもSONG BY SONGの本で彼のことを語るにあたり、ベースのセンスだけではなく、バンドメンバーとしても、すくいい人だと話している。

スクイーズもこのあたりからメンバーがどんどん入れかわるようになって、このアルバムの時は、ポール・キャラックが戻ってきているし、ドラムはギルソンに代わって、元アトラクションズのピート・トーマスが担当するようになった。ピート・トーマスがバンドに参加するにあたり「歌詞をファックスしてくれ」と言われて、「歌詞を気にしてくれるドラマーがいるなんて!」とクリスは非常に感激した、と言っている。

キースもこの時点で、それなりの期間スクイーズに在籍していたことになるから、この曲を入れるのは、グレンもクリスも大賛成だったのだそう。マネージャーのマイルスも自分がキースの楽曲出版者にならんがためにそのアイディアを押したそうで、キースが持ってきた5、6曲の中からこの曲が選ばれた。

グレンは「誰があまりよくない曲をアルバムにいれようとすると、いつも僕は難しい立場に陥る」と発言している。つまりスクイーズのソングライティングとしてのクオリティを保たなければいけない反面、友だちの持ってきたアイディアはそれがヴォーカルであっても楽曲であってもできるだけ取り上げてあげたい、というのが人情だ。そりゃー、そうだよね。「でもこの曲については、そんな問題はまったくなかった」

グレンによると、オリジナルはウクレレで演奏されていて、とっても可愛い曲だったのだそう。でもレコード会社のA&Rが来て、ごちゃごちゃ言ったあげく、このヴァージョンに落ち着いた。このヴァージョンは悪くはないけど、オリジナルの方がよかった、キースの良さをレコード会社はわかっていないんだよな、とグレン。

しかし、このA&Rの担当は(同じ人物だったか分からないけど。異動も多いし! ポール・ブレイディなんかもアルバムごとに人が交代するって文句言ってたもんな)、のちに「REDICULOUS」にいたってはキースが書いた「GOT TO ME」を本人に歌わせない、という事態にまで陥れている。

去年グレンの来日時にその話になり「あなたに向かって音楽的意見をのべるなんて、A&Rも勇気があるわよね。私は絶対に言えない」と言うと、「彼等はヒットを出すプロフェッショナルなのさ」とグレンは言っていた。「HOUR GLASSなんか曲を書く前に“次の曲はヒットする”って言われたんだよ」

野崎洋子

英文の歌詞はこちら