2006年9月20日水曜日

UNTOUCHABLE

よく昔の曲ばっかり聞きたがるファンについて、アーティストをなぐさめる時に(って言うのもヘンだけど)私が使う言葉に、彼等は古い曲の方がいいとかそういうんじゃなくって、それは単に彼等がその楽曲とともに過ごして来た時間の長さなんだって、言うのがある。

12月にひさびさに再来日するポール・ブレイディなんかもそうだけど、ほんとにファンは何かというと「Welcome here kind stranger」とか「Andy Irvine, Paul Brady」ばっかり引き合いに出す。でも普通にポールのライブを1本きっちり見れば、グレンもそうだけど、昔の曲も新しい曲も関係ない。トラッドも自作曲も本当にすべて一直線状に存在しているのがわかる。普通にライブをやっている現役アーティストであれば、過去も現在も健全な状態つながっている。一発屋アーティストだと、これまた全然違うんだろうけど。

例えばポール。15年前に「Trick or Treat」が出た時、みぃーーーんなこう言った。アメリカでアルバムを作りやがって。ゲイリー・カッツをプロデューサーにしやがって。LAのミュージシャンをレコーディングに使いやがって。ポールはアイリッシュ・ミュージックを忘れたのか、って。で、「Nobody Knows」なんか、かなりけちょんけちょんに評価されたもんだ。

でも、今、見てみて! 今、ポールが「Nobody Knows」を歌いはじめれば、ファンのみんなは、「おぉーーーーっ」ってひときわ拍手が大きくなる。そしてポールがこの曲をセットの中にいれなかったら、ファンはブーブー文句を言う。

というわけで、ここをご覧いただいている多くの皆さんと違い、私が一番長く知っているグレンの曲がこの「Untouchable」だ。初めて聞いた時は、「まー、えっらいポップ!」だけど、今、聞いてもその印象は変わらない。スウィートなグレンのテナー・ヴォイスがたまらない。ちなみに日本盤にの「TRANSATLANTIC PING PONG」には「Untouchable」のプロモビデオがDVDとしてついている。(これ、ウチから出てるわけじゃないけど、交渉したのはぜーんぶ私なので、皆さん、喜んで!/笑)

この曲を聞くとグレンとの初めてのツアーを思い出す。浜松でピックアップされてきたグレンと大阪の新幹線のホームで初めて会った。なんだかグレンは超お疲れで、元気がなかったんだけど、ホテルにチェックインする時、レセプションでシャワー・キャップがオプショナルでもらえることになってたんだけど(今、環境問題でホテルのアメニティグッズはレセプションでもらうことが多いよね)、私が、「ほら、たぶんこれ、あなたにすごく似合うわよ」とシャワーキャップをポーンとグレンに投げたら、ちょっとだけニコッとした。あの時の笑顔がまたもやすごく素敵で、私はすっかりグレンのファンになってしまったとさ。

皆さんが一番長く時間を一緒にすごしたスクイーズの曲は何ですか?

野崎洋子


英文の歌詞はこちら