2006年10月2日月曜日

HIS HOUSE HER HOME

端正なピアノの調べではじまるこの歌は、まさに室内楽ポップという言葉がお似合いですが、内容はクリスお得意の(?)不倫ものです。このモチーフをもう少しシリアスに発展させたものが「CAN OF WORMS」になったのではないかと思います。

ヴォーカルは、グレンではなくクリスなのですが、クリスはグレンに無理矢理高いキーで歌わされたとレコーディングのときの苦労を語っています。グレンには、クリスにもっといろんなタイプの歌を歌わせてレパートリーを増やしてやりたいという意図があったようです。

94年のスクィーズ初来日のときには、オープニング・アクトで綿内克幸さんがこの曲をギター1本でカヴァーしてくれて、思わぬプレゼントをもらったような気がしました。綿内さんは、スクィーズがライヴではいかにも演奏しなさそうな曲ということで、わざわざこの曲を選んだのだそうです。

タイコウチ


「彼の家、彼女の家庭」

ぼくたちがキスを交わすとき
きみの夫に見られているんじゃないかと思う
彼の目が見下ろしている
本棚に立てかけてある写真から
スリッパやストッキングが
床の上に脱ぎ捨ててあるのを
デキャンタのワインを飲みほすと
ぼくの言葉はまたもやもつれてしまう

彼の家、彼女の家庭
ぼくたちの未来は恋人同士の世界
彼女の息子、彼女の気持ち
彼女の愛はぼくのために、明日の世界へ

きみの息子がテレビでマンガを見てるとき
ぼくは自分のことを思わず笑ってしまう
朝トイレでいっしょになると
きみの息子はぼくのことを見上げる
お母さんにキスをするぼくのことを見とがめて
まばたきもしない
いろんなことを聞いてくる
とても答えられないようなことばかり

ぼくは酔っぱらってひとりごとを言うけど
きみはまだしらふ
交わす言葉は少なく 2人にはまだ距離がある
彼女をつかまえようとぼくは腕を伸ばす
彼女の愛に飢えているから
ぼくが墓場から救い出してきた愛しい人
過去は写真の中に閉じこめて
未来はこれからぼくたちがフレームにおさめる

(訳:タイコウチ)


英文の歌詞はこちら