スクィーズのアルバムとしては珍しくアメリカ仕様(?)となっている「BABYLON AND ON」(1987年)のなかでは、どちらかというと地味な曲かもしれませんが、「CIGARETTE OF A SINGLE MAN」は、ユーモアのある歌詞に、親しみやすいメロディがついた佳曲と言えるのではないでしょうか。煙草を小道具にして、独り身の男のかもしだす哀愁が軽やかに描かれています。
一人でバーのカウンターに腰かけて、旅行の計画を練ってはみるものの、連れがいなければ遠出する気にもならない、なんて描写がうまいなあと思います。
タイコウチ
「独身男の吸う煙草」
独身男の吸う煙草が
ベッドわきの灰皿でくすぶっている
もう1本缶ビールの口をあけ
自分の頭の高さにかかげる
読みさしの本は床の上
前にも何度か読んだ本だ
家に帰ったからって、いったい何をするというのか?
独身男の吸う煙草が
バーの灰皿にたまっている
カウンターに腰かけて、あれこれ旅行の計画を吟味するが
一人ではそう遠くまで行く気にならない
やはり愛する女性が必要だ
助けてくれるような人がいるならば、の話だが
独身男の吸った煙草が
わきの排水溝に落ちている
いまや彼も迷える一匹の子羊
群れから離れすぎてもう戻れない
でも彼としては意外とお気楽
歯を食いしばりみんなが耐えている面倒がないのだから
やがて眠りにつく彼の口には
独身男の吸う煙草がはさまれている
(訳:タイコウチ)