2008年12月29日月曜日

COOL FOR CATS

さて、満を持して(笑)いよいよ「COOL FOR CATS」の登場です。スクィーズ・ファンじゃなくても、この曲くらいは知っている、というくらいの超有名曲だと思いますが、なんでこのブログで今まで取り上げなかったかというと、決してもったいぶっていたわけではなく、単になかなかうまい訳ができなかったからです(爆)。

この歌詞は、クリスのインタヴューによると、とくに脈絡のないいくつかの場面をつなぎ合わせているそうなので、一見わかりにくくなっています。1番は、アメリカの西部開拓時代、もしかすると語り手がテレビで古い西部劇を見ているということかもしれません。2番も、現実というよりは、B級のギャング映画のようなものかもしれません。3番と4番は、一応つながりがあるようで、等身大の語り手の日常のひとこまと言えるでしょう。

訳すのに特に悩まされたのは、タイトルにもなっている'cool for cats'というフレーズです。もともとは、昔の音楽バラエティ番組のタイトルからきているようですが、この歌の中では、英語なら場面ごとにそのまま聴く側の解釈にまかせることができても、日本語にするとニュアンスを少しずつ変えないと落ち着かないので、なんとか適当に訳し分けてみました。

タイコウチ


「クール・フォー・キャッツ」

インディアンが峠の上の岩場から
のろしの合図を送る
カウボーイは草木の茂みから
銃で狙いをつける
伍長のそばにはインディアンの女が
木にしばられている
女は言葉はわからないが
ぶたれてばかりにうんざりして
伍長が寝ているうちに
そこらの馬をみんな解き放つ
伍長が目を覚ますと火が消えていて
帽子には矢が刺さっている
馬に乗ったデイヴィ・クロケットが言う
猫にしてはたいしたお手並みだ

指令を受けた特別狙撃隊が
時速90マイルでかけつける
ヒースロー空港近くの倉庫に潜む
悪党一味を一網打尽
手錠をかけられたとき
奴らは5ドル札を数えていた
ウォンズワース刑務所から出たり入ったり
奴らの名前には番号がついている
奴らの女房はみんな
顔までそっくりなのがおかしい
その頃駅では
あやしい少年たちが
「お前の父さん元気か」と罰当たりなせりふ
あいつら猫のくせにいい気になってるな
あいつら猫のくせにいい気になってるな

ちょっと気分を変えようと
パブに出かけて気取ってみせる
鏡で見る自分の姿は
ちょっとワイルドな感じだな
あの娘にしようか、この娘にしようか
かっこいいところを見せよう
腕っぷしの強いふりをして
羽振り良さげに少し金を使ってみせる
でも手に入るのは苦いビールとひどい吹き出物
酔いが醒める頃には
自分が手に入れた物も忘れてしまう
みんなが言うには
猫のふりをするのはいかしてるな
猫にしてはいかしてるな

ディスコで踊っていると
ちょっといい感じの娘がいた
いろいろ聞いてみると
彼女は壁にもたれかかる
彼女に最初のキスをして
家まで送っていった
コーヒーでもどうと誘われて
犬に骨をくれてやった
彼女はディスコが好きだけど
ひとりでは行かないらしい
また会おうねと言って
どうでもいい自慢話をしてみる
でもテレビで見るようにはいかないもんだな
猫が気取ってるときには
猫にしては気取ってるな

(訳:タイコウチ)

*クール・フォー・キャッツ:50年代後半から60年代初頭にかけて英国で放映されていた音楽番組のタイトルから。
*デイヴィ・クロケット:米国の西部開拓時代の伝説的英雄で、政治家(1786-1836)。
*「お前の父さん元気か(how's your father?)」は、俗語でセックスのこと。「犬に骨をくれてやった(give the dog a bone)」も同様。そういうわけで、昔BBCに出演したときのライヴでは、歌詞を少し変えているそうです。