2008年12月14日日曜日

COLD SHOULDER

93年のアルバム「SOME FANTASTIC PLACE」から。当時長期にわたるアルコール依存症からようやく立ち直ったばかりのクリスが、自らの体験をもとに描く、愛と賢明さゆえにダメ夫に厳しく接する妻がいる家庭のスケッチです。

ドアにつけた猫専用の出入り口から台所をのぞきこむ男の姿とか、肉屋の冷凍庫に吊された牛といったイメージが秀逸です。グレンによると、最後の「薮の中に前のめりに倒れ込んだ(Then I fell over into a bush)」というところが、なぜか特に気に入っているとのことですが、これはクリスが実際に酔っぱらってそうなったのだそうです。

この歌詞は、クリスとしてもかなりの自信作であるらしく、ソロになってから自分でも歌ってみたけれど、ぜんぜんうまく歌えなくて、やっぱりグレンのヴォーカルは素晴らしいとインタヴューでは語っています。

ちなみに、'cold shoulder'とは、「冷たく素っ気ない態度」という意味の俗語です。

タイコウチ


「冷たくあしらわれて」

ドアの下にある猫専用の出入り口に頭をつっこんで
台所の床の上を彼女が歩きまわる様子を見ている
まるで犬のように
ひざまずいたまま
「何も残ってないわよ」という彼女に残飯を求める

ペンを手にした彼女は、ぼくの目を突き刺す
鍵穴から自分の心の世界を覗こうとしていただけなのに
ぼくは足をばたつかせ、汚い言葉でののしる
自分の頭では何も考えることができずに
悪いのはすべて自分だということがわからなくて

冷たくあしらわれて
屠られて肉屋の冷凍庫に吊された牛のように
冷たくあしらわれて
ぼくたちが橋をかけたところには
彼女があらかじめ計画を立てていた
もっとましな生活をするために
ぼくにわざと冷たい態度をとる

彼女が投げつけたヘアブラシに追いまわされ
運命の手があらわれて、人生の輪郭がぼやけてきた
その手に顔を引っぱたかれたぼくは
やっと解放された
ぼくは家庭に戻り、人生は楽しい宴となった

冷たくあしらわれて
屠られて肉屋の冷凍庫に吊された牛のように
冷たくあしらわれて
もっとましな生活を目指して
ぼくたちが橋をかけたところには
彼女があらかじめ立てていた計画があった
だからぼくにわざと冷たい態度をとる

そしてぼくは前のめりに倒れ込んだ
藪の中へ

(訳:タイコウチ)