2008年12月17日水曜日

I WANT YOU

名曲の揃った1995年のアルバム「RIDICULOUS」に収められたこの曲は、80年代の「KING GEORGE STREET」や「TOUGH LOVE」を、男の立場から歌ったものだと言えそうです。

酒を飲み、家庭で荒れる夫を家から追い出した妻に、あらためて許しを請う男。しかし心の平安を手に入れた妻の方は、もうせいせいしたという感じで、うれしそうにすら見えます。この男の姿は、「KING GEORGE STREET」で、やかんの湯気で曇った窓から、家の中にいる妻と子どもを覗き見る男の姿を思い出させます。この歌の最後に出てくる子どもたちは、はたして「KING GEORGE STREET」のように、「パパが帰ってきた!」と喜びの声を上げるのでしょうか。

それにしても、この頃のグレンの歌唱はまさに円熟していて、とくにこの手の歌い上げるバラード系の曲は、ほんとに素晴らしいですね。この歌詞の内容を考えれば犯罪的なほどです。だって、こんなに艶っぽく甘美に歌われたら、ふつう女の人はつい許しちゃうでしょ(笑)。

タイコウチ


「きみがほしい」

きみはすべてを引き受けて
持てるものすべてを与えた
ぼくにもいつかわかってもらえると信じて
きみはドアの鍵を換え
ぼくの靴下を投げ捨て
ようやく安らぎを手に入れた

きみはぼくの椅子に腰をおろし
膝をかかえ顎をのせている
そこにはもうぼくの居場所はない
そんなきみはずいぶんうれしそうに見える
いったいなんて言ったらいいんだろう
今でもきみを心から愛しているのに

今ここできみがほしい

どうしたら点数を稼いで
きみの信頼をとりもどせるだろうか
ふたりの心のつなぎ目は
さびついている
それはきみの流した涙のせい
ぼくたちふたりをだまそうと
ぼくが何度も嘘をついたから
いったいなんて言ったらいいんだろう
今でもきみを心から愛しているのに

歩みを進めるほどに後ろに通ってきた道が見える
言葉を口にするたびに傷が焼けつくように痛む

外で遊んでいる子どもたちの
姿が見える
口の動きが読める
目を大きく見開いている子どもたち

(訳:タイコウチ)