2009年6月5日金曜日

SLAUGHTERED ARTIST



1月の日本公演では、新しいアルバムのなかで、いちばんパンクな感じの曲、と紹介してから、ギターをがんがんかき鳴らして歌っていました。

内容は、読んでのとおりで、ストーリーと言えるほどのものがあるのかどうかよくわかりませんが(笑)、自分をとりまく不幸な状況に悩み苦しむミュージシャンの叫び、というような感じなのではないかと思います。

おそらくヒントは、タイトルの「slaughtered artist」という表現で、これ自体は歌詞の中には直接出てきませんが、最後の方に出てくる「tortured artist」に呼応しているはずです。「tortured artist」というのは、「自分の作品が思うように評価されないことで自信を失い、自滅してしまうタイプのアーティスト」のことを指す決まり文句らしいのです(辞書には載っていませんが、Wikipediaにはそれらしい説明があります)。「slaughter」というのは、もとは「屠殺する」という意味ですが、「作品などを酷評する」という意味もあるようで、要するにこの曲は、自分ではまっとうな音楽をやっていると思っている売れないミュージシャンが、評価もされずに虐げられ、やけくそになっているという、ちょっと自虐的な内容(?)のように読めます。

そういえば、トッド・ラングレンの80年代のアルバムにも、「THE EVER POPULAR TORTURED ARTIST EFFECT」(いつでも人気のある自滅系アーティスト効果)というタイトルのものがありました。

タイコウチ


「虐げられたアーティストの叫び」

口はぽかんと開け、膝はがくがく、そのままいっきに全速力
もう待ちきれず、みんながそれを求めている
きみにも感じてほしい、このまぎれもない本物を
まっとうな叩き上げによる正義のためのこの闘い

ホテルのスィートルームは街から遠すぎる
恐怖で真っ青だったきみの顔も、今や嫉妬で黄ばんでいる
たまのご褒美だったはずが、もはやいつもの習慣に
さあ、これからどうなるんだろう
当たり前のことも、今やあやふや
きみが弱気になれば、それを嗅ぎつけたハゲワシがやってくる
誰かが口を開けば、財布のひもがついゆるむ
これだけは忘れちゃいけない
さあ、これからどうなるんだろう

モデルのロマンス、メディア、びしょぬれのパンツ
ドラマ、イーストエンド、まったくの天の賜物
家の戸口に日ごと集まるマスコミの記者たち
キスされたのか、愛撫されたのか、私利私欲にまみれて

噂はすぐに伝わり、彼は崩れ落ちてしまう
今こそ悩み苦しむ自滅系アーティストに声をかけるとき
たるんだ演奏は全然だめ、新しくできたバンドの曲はみんな最低
時間の無駄さ、きみにも、彼にも、ぼくにとっても

(訳:タイコウチ)