2010年12月18日土曜日

WHEN THE HANGOVER STRIKES

最近のスクィーズのライヴでも久しぶりにレパートリーになっているらしい「WHEN THE HANGOVER STRIKES」(「SPOT THE DIFFERENCE」のイギリス盤にはライヴ・トラックとして収録)は、もともと1982年にバンドが最初の休憩に入る直前のアルバム「SWEETS FROM A STRANGER」に入っていた曲です。このアルバム自体は、すでにバンドが失速状態にあったということもあり、あまりいい思い出はないようですが、過去 のインタヴューによると、この曲に関しては、グレンもクリスもアルバムの中で特にお気に入りの自信作であるようです。クリスの希望は、トニー・ベネットに この曲を歌ってもらうことなのだそう。

今でこそ完全にアルコールを断ったというクリスですが、この曲が書かれた80年代は酒に溺れる日々が続いていたようです。そんな飲み過ぎによる二日酔いの 苦しみも自虐的に作品にしてしまうのは、才能のあるミュージシャンの業というべきか(笑)。そんな詞にグレンのつけた曲は、スクィーズにしては珍しいジャ ジーな雰囲気たっぷりで、酒場にお似合いです(笑)。グレンによると、ギターはエイモス・ギャレットの「弾きすぎない感じ」を参考にしたとのことです。

ところで、この曲の最新のライヴ・ヴァージョンを聴いていて気づいたのですが、オリジナル録音では「戦いに勝った(Now the battle is won)」となっていた3番の歌詞が、正反対の「負けを認めよう(Now the battle is lost)」になっています。歌詞の流れからすると、「負けを認めよう」の方が筋が通ると思うので、それはそれでいいのですが、歌っているグレンは意識的 に歌詞を変えたのか、それとも単なる勘違いで歌詞が変わってしまったのか、ちょっと気になっています。下の対訳では、現在のヴァージョンに合わせて、「負 けを認めよう」にしました。実は、「Tempted」の歌詞でも、オリジナルの歌詞と、現在のグレンの歌い方で、歌詞がちょっとだけ違って聴こえるところ があるのですが、それについてはまた別の機会に。


「二日酔いにやられて」

二日酔いにやられて
郵便受けを開けて
コーヒーメーカーのスイッチを入れ
トーストを焦がしてる
さあ戦闘開始だ
木漏れ日に目をやると
ドアからはすきま風
ひざに頭をかかえたままで
また新たな一日が始まる
でも頭がぜんぜん働かない

二日酔いにやられて
水道の蛇口をひねると
うるさくて頭にがんがん響く
まだ戦いに負けたわけじゃない
そんな事実に囚われて
迎え酒といくか
それともメーメー子羊のように鳴いて
弱気で抵抗してみようか
せめて半人前の自分にもどりたい
いやそれもすぎたことか

あわれで、みじめ、ふらふら(シェイク)で一杯
どうか頼むよ、酒をついでくれ、この僕にもう一杯

二日酔いにやられて
鏡をのぞけば
もう真夜中の総攻撃にかけるしかないってことか
たったの一杯がなんて魅力的なことか
もう負けを認めよう
一杯の酒という良薬が
僕にその悩みを打ち明けてくれる
部屋に閉じこめられた気分だけど
開ける鍵が見つからない
まあ何も盗られてないけどね

あわれで、みじめ、ふらふら(シェイク)で一杯
どうか頼むよ、酒をついでくれ、この僕にもう一杯

(訳:タイコウチ)