「ペルセフォネ」
ペルセフォネは恐れることなど知らない
人生が理不尽にもあわただしく過ぎゆくなんて
いつも余裕で、時の流れを受け入れる
人前で上品ぶったりなんかしない
彼女は身軽で気軽に旅に出る
世の中の流行りからははずれて生きる
それでも必要なものはすべて
自分のワーゲンバスの中に揃えている
ペルセフォネ
彼女は卑劣にふるまう術を知らない
散弾銃のようにしゃべりまくり
自分の気持ちを隠すことなどない
今夜こそが勝負のとき
ペルセフォネにとって
カウンター・カルチャーの残骸が
危険な斜面に残っている
気の利いた広告とはいえない
かわいそうなペルセフォネにはもう元気もない
かわいそうなペルセフォネに憐れみを
携帯電話も車の鍵もなくしてしまった
物覚えもちょっとあやしく
理屈っぽいことはチンプンカンプンなのと
ペルセフォネは笑ってごまかす
一晩中不安そうに青ざめた顔をしている
彼女にはもう船を進める風も吹かない
話そうとしてもほとんど声にならない
どこかでお会いしてないかしらと
ペルセフォネはいう
(訳:タイコウチ)
「ペルセフォネ」というのは、ギリシャ神話に出てくる冥界の女王で、水仙の花に魅せられているすきに冥府に連れ去られたという話から、春の女神とされるそうです。「ペルセポネー」という表記もあり。
この歌では、かつて奔放な青春時代を送ってきた魅力的な女性が、老年を迎えている様子を描いているようです。