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2008年12月18日木曜日

UNTOUCHABLE

グレンの2枚目のソロアルバム「TRANSATLANTIC PING PONG」の冒頭を飾り、シングルカットもされたこの曲は、一見すると、なかなか心を開いてくれない恋人に向けたラヴソングのように聴こえるかもしれませんが、それだけの解釈では、何かものたりない気がします。というか、相手が恋人にしては、「きみが好き」というようなわかりやすい表現が全然なくて、「友情をこめた威嚇射撃」なんて、恋愛感情というよりも、かたくなな相手を何か説得しようとしつつも、いささかうんざりしているような気配すらします。

さてこの曲はいったい何を歌っているのか、その答えは、以前グレンが来日した際にピーター・バラカンさんのFM番組に出たときのインタヴューで明かされています。そもそもこの曲は、イギリスの若手シンガーソングライター、クリス・ブレイド(Chris Braide)との共作なのですが、グレンが詞を書いて、クリスが曲をつけたものだそうです。実はグレンは、この新しいパートナーである若きクリスの才能に嫉妬していたというのです。そのせいで、ふたりが知り合ってからしばらくは、グレンの方が妙なこだわりを持ってしまい、なかなか素直に打ち解けることができなかったときの様子を、逆にクリスの立場に立って描いてみたのが、この歌詞の内容なのです。つまり、なんできみは素直に心を開いてくれないのだろう、きみの心に触れることが許されないのはなぜ、と年上の友人グレンに対して若いクリスが悩み、説得を試みているということなのです。

ああ、なんてひねった歌詞の作り方なのでしょう(笑)。これはさすがに作った本人に説明されなければ、ふつうは読み解けませんよね。もちろん、ちょっと変わった恋愛ものとして聴いてもいいのですが。

スクィーズ時代に、グレンに対してクリス(ディフォード)が正直な気持ちを直接伝えられなくて、グレンに渡す歌詞に託して伝えようとしていたというのは、今となっては有名な話ですが、この曲でグレンは、自分が素直になれない相手(クリス・ブレイド)は、きっとこんな気持ちで自分のことを見ているのだろうと想像し、相手から見えているであろう自画像を描いているわけです。クリスの悪い病気がグレンにうつったというべきか、手の込んだグレンの作詞術に感嘆すべきなのか。もちろん後者なのです(笑)。

タイコウチ 



「きみの心に触れることができない」

とにかく、きみがもっと心を開いてくれないとどうしようもない
ぼくは冷静に受け止めてあげるから
きみの気持ちがわからなければ何もしてあげられないよ
きみはぼくに秘密を打ち明けようとはしてくれない

きみはぼくに興味を持ってくれた
ぼくが外から中にいるきみをのぞきこんでいたときに
それなのにいったいどうして
きみの心に触れることができないのだろう
きみの心に触れることができないのだろう

きみの最大の敵は、そんなふうにしてるきみ自身なんだ
そのことはよくわかっているはず
きみが自分から考え直さないかぎり、ぼくにできることはない
他の誰でもない、きみこそが

最後の一線を越えてしまったら、もう戻れないと怖がってるの?
もはや焼き捨てる橋もなく
きみの心に触れることができない
きみの心に触れることができない

一日中大声でわめきちらすのもいい
きみはますますそんな感じだけど
こんなきみではなかったはず
いったい何を気にしてるんだい

これがいったいどういうことなのか、ぼくにはいつまでたってもわからないだろう
きみがぼくを信じてくれなければ
これはぼくからの友情をこめた威嚇射撃なんだ
きみがぼくに口をきいてくれるように

きみは明らかに問題を抱えている
ぼくから言えることはすべて言ったつもり
ボールはきみのコートに入ったのだから
今度はきみが叩き返すか、そこから立ち去るか
ぼくたちはゆっくりと別れていくことだってできる
策略をめぐらしたってそう長くはもたない
ここから始められるかどうかは、すべてきみ次第なんだ
きみの心に触れることができない
きみの心に触れることができない

(訳:タイコウチ)

2006年10月2日月曜日

RAY & ME

「transatlantic ping pong」からのこの曲は、グレンとクリス・ブレイドの 共作のクレジットになっていますが、歌詞はほぼグレンの自伝的な内容のようなので、大半はグレンのペンによるのではないかと思われます。郷愁を誘うグ レンの少年時代の親友との想い出が、思いがけず現在につながります。ところが、大切なメモをなくしてしまうなんて、トホホなオチがついてこの曲は終わりますが、このエピソードのおかげで、失われてしまった過去のかけがいのなさがいっそう甘酸っぱく立ち上ってくるようにも思えます。

タイコウチ


「レイと僕」

僕らの住んでいた通りのつきあたりには空襲被災跡地があって そこでよく遊んだ
錆びついた鉄板のすきまに抜け道を見つけて入った
ずいぶん遅い時間まで 腹ぺこになるまでそこにいたものだ
毎日がわくわくするような冒険で 僕らは親友同士だった
レイと僕

レイの家族は お姉さんと 優しいお母さん
煙突のように煙草をふかすお父さん
それからお兄さんは
僕らがレコードをさわったり 雑誌を見たりすると
いつもめちゃくちゃ怒るのだった
でも僕らはそれほど気にすることはなかった
僕らはまだとっても若かったから

僕の母さんは気の小さい人だったけれど
僕にはいつだってとても優しかった
兄貴はおやじが病気で亡くなったあと
結婚して早々と家を出ていった
週末には家族でバスに乗り ウールウィッチまで食料を買いに行った
でも外でレイと遊ぶことほど心がはずむことはなかった

黄昏どきがやがて闇夜へとかわり
それでも僕らは外に座ったままで
人生の重大事と思えることについて 芝居がかった声でささやきあった
未来のこと 大人になったらどうなるか なんてことを話した
僕らは自分たちの将来の姿を想像して 腹をかかえて笑った
レイと僕

レイの家は市に買収され
空襲被災跡地も整備されてしまった
子ども時代の僕の思い出の場所も 今では6車線の道路になった
僕らはいつでも気の合う仲間同士 週ごとに互いの家を行き来していたが
その回数もやがて減っていった
レイと僕

僕がイースト・ロンドンでライヴをやったとき レイが会いに来てくれた
彼は電話番号のメモをくれたのだが 僕はそれをなくしてしまった
いかにも僕のやりそうなことだ

(訳:タイコウチ)


英文の歌詞はこちら

DOMESTIC DISTORTION

タイトルを直訳すれば、「家庭内のゆがみ」ですが、そのままではあんまりなので少し意訳しました。自分の乱れた生活が原因で、娘と疎遠になってしまった父親が、久しぶりの再会で娘に赤ん坊が生まれたことを知る。ぎこちない会話をしながら、これから2人の関係が修復できるかどうかも自信が持てない男の情けない心情が、洗練されたAORっぽいサウンドに乗せて歌われています。 ペダル・スティールが効いてます。作詞は(作曲とともに)グレンなのです が、想像力だけでこんなスケッチをさらりと描いてしまえるほどに、ソロ活動 を始めてからのグレンの作詞術の成長には目を見張るものがあります。


「ぼくたちのゆがんだ関係」

ぼくたちの絆は切れてしまい ぼくはきみをわきに押しやってしまった
長い年月が失われてしまったけれど ぼくたちにはまだいまここという時がある

きみに会うのは怖い
うれしいけれど困惑している
きみが勇気を出して
ぼくに会いたいと言ってくれた

悪かったのはぼくの方 恐れる気持ちもあるけれど 
仲直りをして新たなスタートをきろう
2人で前に進んでいく理由を見つけられるなら

自分たちの手荷物を確かめなおし
お互いの考え方を分かちあおう
ぼくも大人になって
きみのことを理解すべきときがきた

ゆがんだ関係の影からすべり出していく
はっきりわかっているのは 不確かだということだけ
自分の気持ちなのにどうにもとらえようがない
ぼくが絶対行きそうもないどこかへ向かって
ぼくたちは旅に出る どこにたどり着くかはわからない

今ではきみもパートナーを見つけ 落ち着くところへ落ち着いたという
小さな男の赤ちゃんもいるってことは ぼくももうおじいちゃんというわけか

ちょっとショックだけど うれしい知らせだね
ぼくは自分で責任をとれない性格なんだ

過去はページを閉じた本の中
ぼくがめちゃくちゃにしてしまい きみに迷惑をかけた
そのことに全然気づいていなかったぼくをどうか許してほしい

きみのことを思う気持ちはどこかにあるはずなんだ
でも保証はできない
ぼくたちの未来はこれからどうにか変えていけるものなのかどうか

(訳:タイコウチ)


英文の歌詞はこちら

2006年9月21日木曜日

ONE FOR THE ROAD

グレンの「TRANSATLANTIC PING PONG」の最後の1曲、ドキュメンタリー「ONE FOR THE ROAD」のテーマ曲。といっても映画の方では流れるシーンはない。でもエイミーのホームページwww.glennmovie.comに行くとバック音楽で流れるポップな曲だ。

このドキュメンタリーについて、エイミーに話を聞く機会に何度か恵まれた。彼女と会ったのは実は一度きり。ロンドンで今年の1月に会った。でもそれ以外にも、実際、彼女とは妙にウマがあい、いっつも夜中に二人で女子高生のように長いメールをやり取りしてしまう。実際グレンと一緒に働くあの感じは、やっぱり同じ体験をしたものじゃないと分からない部分があるから、そういうことが一番彼女と私をつないでいるんだろうと思う。また彼女のアドバイスもものすごく適格で、それに幾度助けられたか知れない。本当に私は助かっているのだ。エイミー、ありがとう!

この映画についてのエイミーの苦労たるや、いや、ほんと凄まじいものがある。彼女の苦労は表から見えているだけでも相当だけど(これは彼女の日記を見れば分かる)、いや、もう、そこには書けない話を聞いたらそりゃーもう私だったら絶対に怒ってすべてを投げていると思うよ、というくらいだ。

だから外野がいろんな批評を簡単に彼女に浴びせるのを聞くと頭にキてしまう。そういう勝手な批評をする奴には、じゃあ、お前がおんなじ事をやってみろよと言いたい。彼女の苦労を知っていたら簡単な事は絶対に言えない。まぁ、もちろん芸術作品を発表する者として、そういう批評にはたえないといけないんだけどね。

でも、あのドキュメンタリーがあるだけで、私たち世界で働くグレンのプロモーターがどれだけ助かっているか! あれを見せればグレンやスクイーズを知らない人でも、グレンがどんなに頑張り屋さんで、どんなにライブが楽しいのかをすぐに分かってもらえるんだもの。本物の映像のなんと説得力のあることか。

ほんと、エイミー頑張ったよ。実はエイミーはこの東京での5夜連続ライヴに遊びに来たい、自分で来るからとすごく言っていた。でも私はエイミーが来るんだったら、きちんと監督としてこちらで招待してあげたいんだよね。それが彼女に対する私の尊敬の気持ちであり、彼女が成し遂げたことへの感謝の気持ちだから。それが仕事仲間としての礼儀だ。そういう礼儀が理解できない人って多いけど。ほんといつの日か監督として、きちんと来日してほしい。映画祭とかにこの映画を使ってくれるところがあらわれないかなぁ。ここを見ている映画関係者の方がいたら、ぜひご連絡を乞う!

今日たまたまニューヨーク・ドールズのベーシスト、故アーサー・ケインのドキュメンタリー「New York Doll」を見た。めちゃくちゃ感動。コメントで出てきたミュージシャンたち(モリッシーやボブ・ゲルドフなど)全員が、いい人になってたのに、いや、嫌味じゃなく本当に感動した。プロダクション・ノートによれば、あそこに出演したミュージシャン全員がノーギャラで、アーサーのドキュメンタリーだというと彼に対する温かいコメントを寄せてくれたのだという。実際メルトダウンの会場での収録も、撮影隊が出発前は許可がおりるかわからなかったのだそう。でも、ホントそうやってみんなに支えてもらわなくっちゃ映画なんか実現しない。グレンも、エイミーもそう。多くの温かいファンの人たちに支えられ、いろんんなことを実現していく。グレンの来日もそう。多くの人に応援してもわらなければ、実現できない。

30年ぶりに立つステージが恐くないかと聞かれて「昔の仲間に会うようなもんだ」と答えていたアーサー・ケイン。ライヴの場って、本当に・・その場にいる人とアーティストとの一体感を感じれる素晴らしい場所だよね、と思う。

野崎洋子

2006年9月20日水曜日

UNTOUCHABLE

よく昔の曲ばっかり聞きたがるファンについて、アーティストをなぐさめる時に(って言うのもヘンだけど)私が使う言葉に、彼等は古い曲の方がいいとかそういうんじゃなくって、それは単に彼等がその楽曲とともに過ごして来た時間の長さなんだって、言うのがある。

12月にひさびさに再来日するポール・ブレイディなんかもそうだけど、ほんとにファンは何かというと「Welcome here kind stranger」とか「Andy Irvine, Paul Brady」ばっかり引き合いに出す。でも普通にポールのライブを1本きっちり見れば、グレンもそうだけど、昔の曲も新しい曲も関係ない。トラッドも自作曲も本当にすべて一直線状に存在しているのがわかる。普通にライブをやっている現役アーティストであれば、過去も現在も健全な状態つながっている。一発屋アーティストだと、これまた全然違うんだろうけど。

例えばポール。15年前に「Trick or Treat」が出た時、みぃーーーんなこう言った。アメリカでアルバムを作りやがって。ゲイリー・カッツをプロデューサーにしやがって。LAのミュージシャンをレコーディングに使いやがって。ポールはアイリッシュ・ミュージックを忘れたのか、って。で、「Nobody Knows」なんか、かなりけちょんけちょんに評価されたもんだ。

でも、今、見てみて! 今、ポールが「Nobody Knows」を歌いはじめれば、ファンのみんなは、「おぉーーーーっ」ってひときわ拍手が大きくなる。そしてポールがこの曲をセットの中にいれなかったら、ファンはブーブー文句を言う。

というわけで、ここをご覧いただいている多くの皆さんと違い、私が一番長く知っているグレンの曲がこの「Untouchable」だ。初めて聞いた時は、「まー、えっらいポップ!」だけど、今、聞いてもその印象は変わらない。スウィートなグレンのテナー・ヴォイスがたまらない。ちなみに日本盤にの「TRANSATLANTIC PING PONG」には「Untouchable」のプロモビデオがDVDとしてついている。(これ、ウチから出てるわけじゃないけど、交渉したのはぜーんぶ私なので、皆さん、喜んで!/笑)

この曲を聞くとグレンとの初めてのツアーを思い出す。浜松でピックアップされてきたグレンと大阪の新幹線のホームで初めて会った。なんだかグレンは超お疲れで、元気がなかったんだけど、ホテルにチェックインする時、レセプションでシャワー・キャップがオプショナルでもらえることになってたんだけど(今、環境問題でホテルのアメニティグッズはレセプションでもらうことが多いよね)、私が、「ほら、たぶんこれ、あなたにすごく似合うわよ」とシャワーキャップをポーンとグレンに投げたら、ちょっとだけニコッとした。あの時の笑顔がまたもやすごく素敵で、私はすっかりグレンのファンになってしまったとさ。

皆さんが一番長く時間を一緒にすごしたスクイーズの曲は何ですか?

野崎洋子


英文の歌詞はこちら

2006年9月19日火曜日

THE GENITALIA OF A FOOL

この曲も前回のツアーで非常に思い出深いので、今回はこれを取り上げることにします。

グレンが大真面目な顔で歌うので、英語が分からない人はやっぱり大真面目で聞くしかないわけだけど、実はこの曲を名古屋で歌ったとき、会場に数人外国人のお客様をはじめ日本人で英語をわかる方ももちろん数人いらっしゃった。英語がわからない人には、英語がわかるお客様が、歌の間中ずっとクスクス笑っているのはなぜか理解できない。で、かつ曲も良かったりするから、ライヴが終わると「あのカントリー調の曲が良かった」とかよく言われるんだけど・・・

そう、この曲、こんな風に歌っているんである:「俺だって趣味のひとつくらい持っているんだ。みんなもヘンな才能の一つくらいはあるだろ? 頭がおかしいと思わないでくれ。でも僕は君のパーティを台なしにした。ここで僕は愚か者の生殖器を握って立ちつくしている」という歌なのだ。中川五郎さんなどは「あのぅ〜この曲は露出狂の曲ですよねぇ? いいんでしょうか」とかマジで心配してくれていた。そして歌は続く:「僕のすべてをさらけだせば、好きになってくれると思ったんだ」あとは「TRANSATLRANTIC PING PONG」についている五十嵐正さんの訳を読んでください。私には書けません(笑)

グレンは、この曲のジョークが日本で理解されなかった事を非常に気にして「あぁ、あの歌、歌うんじゃなかった。あの曲で完全に(あのジョークがわかる人とわからない人と)会場のオーディエンスを分けてしまった」とすごく後悔していた。ほんとグレンって優しい。本当に毎回お客さんが心から喜んでくれるかどうか、すごく気にしているし、本当にお客さんを大事に思っている。

だから今回も5回のライブ、どの日に来てもお客さんは大満足だろう。これがウチの某スウェーデン・バンドなんかだと、絶対に2日あげれば1日しか上手くいかない。まぁ、もちろん彼等の音楽のハードルは高いから合格点にはもちろん充分達するんだけど、だいたい私は1日しか満足しない。それでいつも「野崎さん、厳しすぎ」とか言われるんだけど、私は彼等のプロモーションに命をかけているから、私の好きなバンドがその程度だという事実が許せないのだ。私の音楽的センスを疑われてしまうもん。

その点、グレンはすごい。前回のStar Pine'sの3日連続の時も、1日だけどうかなと思った日があった。1部と2部の間の休憩中にグレンは、だいたい楽屋に戻ってきてその日のライブの状態を話す人なのであるが、グレンはその日の前半が終わって楽屋に戻ってくるなり話し掛けようとする私と止めて言った。「何も言うな。自分の事は自分が一番分かっている。後半は絶対に大丈夫だから安心して見てて」と。

私はすっかり感動してしまった。この根性がウチの伝統音楽の連中にも欲しい。絶対にその日のライヴを完璧なものにしてみせる、というその根性が。実際その日のライブは、ものすごい集中力で、本当に素晴らしかった。

あの時以来は「もうGenitaliaは日本では歌わない」とグレンは宣言してたけど、曲調は素敵だし、グレンの声にあっているんだから、ぜひ歌ってほしいよね。そして、ぜひ皆さん、次回はぜひクスクス笑いながら聞いてあげてください。

っていうか、グレンに内緒で、みんなで歌詞プリントアウトして持ってきて一緒に歌うってのは、どう? 前回のツアーのリベンジとして。なんかそういうお客さんの方から逆演出みたいな、そんな事できないかな。せっかくグレンがまた日本に来てくれるんだし。歌詞カードみなくても、せめて「ジェニタリア・オブ・ア・フぅ〜ル〜」とのところを一緒に大きな声で歌う、とか? グレン、絶対に喜んでくれるだろうから。

ちなみにオリジナルはテキサスはオースティンでグレンが出会ったコーネル・ハード・バンド。

しっかし自分のバンドをフラッファーズとか呼んだり、グレンのこういう子供っぽいジョークには時々ついていけない・・・という話で先日ブーと盛り上がってしまった。このネタはまた次回。

野崎洋子


英文の歌詞はこちら

REINVENTING THE WHEEL

せっかく野崎さんが「THE GENITALIA OF A FOOL」を取り上げてくれたので、 ついでに同じアルバムから「REINVENTING THE WHEEL」も紹介してしまいましょう。女性ファンの皆さんは、毒を食らわば皿までも、というつもりでお読み ください(笑)。

タイトルの「車輪を発明しなおす(reinventing the wheel)」とは、すでに発明されている車輪を、ゼロからもう一度発明しなおすというところから、「何の役にも立たない無益なことをして時間をつぶす」という意味です。この 曲がいったい何を歌っているのかは、「GENITALIA OF A FOOL」と似たような テーマである、とだけ言っておきましょう。サビのところではもちろん、グレンは「車輪を発明しなおしているんじゃない(I am not reinventing the wheel)」と強弁(?)しています(笑)。

同じような歌は、XTCのアンディ・パートリッジも歌っていましたが(アルバ ム「ORANGES AND LEMONS」収録の「PINK THING」やアルバム「WASP STAR」収 録の「BROWN GUITAR」)、イギリス人この手のあっけらかんとした自虐的下ネタ好きは、モンティ・パイソンなんかのユーモア・センスに通じるのではない かという気がします(一応権威づけでフォローしているつもり(爆))。

ちなみに曲の方は、まさにグレン節全開で、いかにもスクィーズなメロディが展開する品のいい室内楽ポップという感じですね。

タイコウチ


「車輪を発明しなおす」

気が向かない人づきあいは避けているんだ
ぼくにはいつもいっしょにいる友だちがいるから
仕事の休憩には理想の相棒なのさ
海をゆく孤独な船乗りと同じこと

べつに無駄なことをやってるつもりはない
ただあの特別な感じが好きなだけさ
ぼくらはいつだって
宣教師のような熱意で一体となるんだ

来客にも電話にも応えない
もっと充実した時間をすごしたいだけなんだ
ずいぶん忙しくしていると思われてるんだろうな
でもほんとはこうしてDVDを見てるだけなんだ

べつに無駄なことをやってるつもりはない
ただあの特別な感じが好きなだけさ
ぼくらはいつだって
宣教師のような熱意で一体となるんだ

ぼくとぼくの小さな友だち
外では雨が降っているときだけ
彼は陽の光をあびることができる
彼は陽の光をあびることができる

今日はどのくらい時間をかけようか
2分間のいかしたポップソングか、それとも三幕ものの芝居にするか

べつに無駄なことをやってるつもりはない
ただあの特別な感じが好きなだけさ
ぼくらはいつだって
宣教師のような熱意で一体となるんだ

(訳:タイコウチ)


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2006年9月10日日曜日

HOSTAGE

さて、スクィーズの懐メロばかりでなく、最近のソロの作品も聴いておきまし ょう。グレン・ティルブルックの今のところ最新作「transatlantic ping pong」から、「HOSTAGE」という曲をとりあげます。

かつての恋人の家に夕食に招かれて、懐かしくもちょっと気まずい思いをしつ つ、なにやらDVの気がある現在の夫と彼女の関係を目の当たりにして、「君は ほんとに幸せなのかい/だれかの人質(hostage)になってるみたいだよ」、な んて未練がましい男心を綴った歌詞は、クリスのペンによる、と言われれば信じてしまいそうですが、もちろんグレン本人の作詞です。この曲をはじめて聴いたときは、なんだ、グレンだってクリスに負けない素晴らしい詞が書けるんじゃないかと思ったものです。

ちょっと、エルヴィス・コステロの初期の名曲「ALISON」を思わせるシチュエ ーションでもありますね。コステロは、結婚した元の恋人に「この世界はお前をだめにしていくだけだ(You know this world is killing you)/おれはまだ本気だぜ(My aim is true)」とやけ気味に(?)迫りますが、グレンは、 元恋人の現パートナーのDVに言及して、「彼がいつもあんなに怒りっぽい奴ならば、ぼくにはきみのことを心配すべき正当な理由が2つある」とひそかに心のなかで思いを新たにします。果たして歌い手は、ここで正義と真実の愛に目覚めるのでしょうか。


「人質」

ぼくたちがつきあっていたのはずいぶん昔のこと
何年かは楽しくすごしたけれど その楽しさもやがて忘れてしまった
お互い別れるつもりなんてなかったはずなのにね
今となってはみんな昔話
ぼくたちは大人になり 勇敢にも友だちとしてやりなおそうというわけだ
きみの家に夕食に招待された

ぼくたちは席につき、飲み物を片手に知り合いの近況を伝えあう
なんだか落ち着かないけど、きみが誘ってくれたことには感謝してるよ
しばらくしてきみのパートナーが煙草を吸うために席をはずす
もどってきた彼が言う
「ちょっと疲れたから、悪いけどソファで横にならせてもらうよ」
きみの家に夕食に招待された

きみの顔には疲れがみえる
ここはきみのいるべき場所じゃない
きみは幸せなのかい そうよときみは言うけれど
そうは思えないよ
こんなきみの姿をみても全然うれしくなんかない
きみはまるでだれかの人質になってるみたいだから

テレビではつまらない番組がだらだらと続いている
彼はぐっすり眠っている
「うるさい」と突然叫んだ彼の声にきみはびくりとするが
いつのまにか彼はまた高いびき
ふたりで皿を片づけていると、きみは気まずそうに
ごめんねと小さな声で言う
できれば見たくなかった、こんなきみの今の暮らし
きみの家に夕食に招待された

きみの顔には疲れがみえる
場違いな所にたどりついてしまったみたい
きみは幸せなのかい そうよときみは言うけれど
そうは思えないよ
こんなきみの姿をみても全然うれしくなんかない
きみはまるでだれかの人質になってるみたいだから

彼がいつもあんなに怒りっぽい奴ならば
ぼくにはきみのことを心配すべき正当な理由が2つある

(訳:タイコウチ)

英文の歌詞はこちら

NEPTUNE

つい先日、冥王星(Pluto)は矮惑星というものに格下げされてしまいましたが、海王星(Neptune)と天王星(Uranus)は無事でした(笑)。というわけで、今回は、グレンの「transatlantic ping pong」から、「NEPTUNE」です。

かつてビートルズが解散してまもなく、ジョンがポールに当てつけてた「HOW DO YOU SLEEP」という歌がありましたが、この曲はグレン版の「HOW DO YOU SLEEP」ということになりそうです。もっとも、ジョンの身も蓋もない辛辣さに比べれば、アルバム中いちばんポップで、ギターが小気味よいリズムを刻むこの曲は、クリスのことをちくりとからかいながらも、友だちとしてなんだか気になってしまう、そんないたずらっぽいグレンの表情が浮かんできます。

しかし、同じアルバムには、久しぶりにクリスと共作した「WHERE I CAN BE YOUR FRIEND」という曲も収録されていて、クリスの書いた詞の内容はどう見ても、クリスからグレンへの謝罪であって、それとこれとを同じアルバムに平気で入れてしまうグレンの天然っぽさは、ジョンというよりもポールに近いと思うのですが、いかがでしょうか。

ちなみに、なぜクリスは天王星にいることになっているのかというと、どうやら天王星(uranus)という英語は、'your anus'と発音が重なることから、人を侮蔑するジョークとして使われることがよくあるらしいのです。

タイコウチ


「ネプチューン」


何年もさんざん迷ったあげく
ようやくきみも独り立ちしてみたわけだ
さてきみはぼくと同じ次元にいるのかどうかお手並み拝見
きみは最高の思いつきを口にするのが常だったけど
結果はいつも同じだったね
今度はいったいどうやってぼくの気を引くつもりなのかな

おや、やっと出てきたね
いまどのへんにいるの
天王星(ウラヌス)なのかい ぼくはもう海王星(ネプチューン)にいるんだよ

きみのフォーキーな即興演奏もやがては力尽きて
脈拍も上がらなければ 銀行預金も増えなかった
不眠症のきみが見る夢の話はもう聞かなくてもけっこう
ぼくが電気を消したことで きみに礼をいわれたけれど
きみにこそ礼をいうよ たぶんきみの方が正しかったんだ
きみがこんなふうに復活してくるなんて いったいどういう風の吹きまわしなんだい

おや、やっと出てきたね
いまどこのへんにいるの
天王星なのかい ぼくはもう海王星にいるんだよ

ぼくはもういろいろ考えるのにうんざりしていて
なにが真実なのかも判断できなくなっていたんだ
そしてふと気づくと きみのことがちょっと気になっていたというわけさ

おや、やっと出てきたね
いまどのへんにいるの
天王星なのかい ぼくはもう海王星にいるんだよ

(訳:タイコウチ)


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